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Proto Landscape

架空の世界、ユートピア、新しい都市のための実験所….
どのような名称で呼ばれようとも、人々が住んでいる限り、そこには現実の世界が存在している。

私はだれもいない特権的な場所から、対岸にある小さな都市が建造されるのを眺めている。都市がどのように誕生し、そしてどのように成長していくのか、私たちがつくった架空の世界の始まりから、その行く末までを眺望することができる場所。

すべての都市の始まりは、架空の世界が基盤になっている。雄大な時間の経過が、その基盤に多様なテクスチャーを積層していく。人々は世界に痕跡を残すことで世界を変えながら、自らも世界によって作りかえられる。

時間の経過にともなう風景の変化は、完結することのない進行形としてある。過去からあてられた光は、現在の事象を通して、未来へと写像されていく。

Biosphere 2 / バイオスフィア 2

バイオスフィア2は、アリゾナ南部のソノラ砂漠にあるエコロジー・システム実験施設である。本来のバイオスフィア(生態系)である地球に由来し、それを模倣する装置として2番目の生態系を意味する。およそ13,000㎡のドームには、熱帯雨林、サバンナ、砂漠、海、沼地、砂漠の6つの気候区分のほか、農業と居住のための区分が設けられる。酸素や水、栄養素など、人間が居住するために必要な自然要素が内部環境で循環できるように設計されている。1991年からの2年間、男女4人ずつの科学者が、外部との物質的やりとりを完全に遮断した内部空間で、自給自足の実験生活をおこなった。1993年に1回目の実験が終了した後、継続予定だった居住計画は凍結され、本来の機能は停止したまま施設は保存された。

2008年当時、施設は短期的実験に使用されるほかは、部分的に廃墟化がすすむ。新しい自然の秩序が内部空間を支配しはじめる。施設全体をつなぐ地下の設備空間では、2年間の居住実験から現在に続くブリコラージュの集積が濃密な空間をつくり、ドームの近未来的なデザインと対照をなしている。