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Proto Landscape

架空の世界、ユートピア、新しい都市のための実験所….
どのような名称で呼ばれようとも、人々が住んでいる限り、そこには現実の世界が存在している。

私はだれもいない特権的な場所から、対岸にある小さな都市が建造されるのを眺めている。都市がどのように誕生し、そしてどのように成長していくのか、私たちがつくった架空の世界の始まりから、その行く末までを眺望することができる場所。

すべての都市の始まりは、架空の世界が基盤になっている。雄大な時間の経過が、その基盤に多様なテクスチャーを積層していく。人々は世界に痕跡を残すことで世界を変えながら、自らも世界によって作りかえられる。

時間の経過にともなう風景の変化は、完結することのない進行形としてある。過去からあてられた光は、現在の事象を通して、未来へと写像されていく。

Arcosanti / アーコサンティ

人工的環境から遠くはなれた、アリゾナ中部の広大な砂漠のなかに、ひそやかにつくられる実験都市。アースキャストと呼ばれる工法によって、砂漠の大地から抽出されたテクスチャーが構造物にあたえられる。建設は居住者のボランティアによって、現在もとてもゆっくりと続けられている。都市の未来を指し示す設計図には、5,000人が暮らす巨大な都市の姿が描かれる。1970年に建設がはじまり、2008年当時には、建設計画のうち約5%が完成、約60人が居住する共同体をつくりだした。

アーコサンティはアーコロジーという理論にもとづき、建築家パオロ・ソレリによって設計された。アーコロジーとは、アーキテクチャーとエコロジーを融合させたパオロ・ソレリによる造語。アーコロジーでは、一般的な都市開発と比較して、そのわずか2%程度の土地を使用するにとどめ、同規模の都市環境を構築することを可能にする。必要最小限の土地を活用し、都市機能を立体的に凝縮することにより、自然環境が保護され、エネルギーや資源の浪費、環境汚染を解消させる。エネルギーロスの少ない交通や物流を可能にすると同時に、人と人が、または人と自然とが、ダイナミックに交流する都市環境の構築を目指している。