Simscape タネをまくヒト
2004-2005 六ヶ所村 青森
通称「ミニ地球」と呼ばれるエコシステムの研究施設を撮影した作品。
2人の実験者が自給自足ができるミニマルな生態系を再現する施設。
生命維持に必要な酸素や水や栄養素はすべて、閉鎖空間のなかで循環する。
そこで実験者は食料となる植物を得るために、タネを植え、育て、収穫し、食べる。
その実験場のなかの彼らは、科学者であり、農業者であり、そして生活者としてふるまう。
人工的な昼と夜のサイクルがつくられ、水耕栽培の植物が実るなかで、
タネをまき、収穫する人の姿は、古くから繰り返される風景のモチーフとかわらない。
近代科学が自然を対象として扱うとき、そこに人間の姿は描かれなくなっていった。
自然をシミュレートする科学のなかに人が登場するとき、新しい自然主義の風景がうまれる。
The sower in the simulated world
2004-2005 Rokkasyo Aomori. Japan